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岡田斗司夫さん「風立ちぬ考」を読んで。 【ネタバレあり】
映画「風立ちぬ」を見た時、涙が止まらなくて、
あんな経験は、自分でもあまりなく、驚きました。

でも、なぜ涙が出たのか、どうしてもうまく説明できなくて、

ただ、きれいだった。
美しい映画だと思いました。

(その日の感想にも書いています)




いわゆる「感動のストーリー」ではないと思うんですね。

主人公は小さな頃からエリートで、そして結構自分勝手(笑)。

泣かせようと思えば思い切りドラマチックに演出できるはずの
「薄幸の少女」がどうなるのか、はっきりと描いてもおらず。

主人公の挫折についてもさらりと流すので、
ぼんやりしている人はエピソードを見落としてしまって
頭に「?」と出てしまうんじゃないかしら。

主人公は間違いなくヒーローではないんだけれど、
でも、一般的に感情移入しやすい「普通の人」でもない。

でも、ものすごく物語に引き込まれてしまいました。
なぜだろう?


興奮が落ち着いてからも、しばらく「風立ちぬ」が頭から離れませんでした。

小さなことなんですが、「シベリアケーキ」のくだりが、なぜ必要なのかが
わかりませんでした。
あの映画の中でムダな伏線はほとんどないと思うのですが、
あのシーンだけ、どうしてそんなことを描くのかがわかりませんでした。

また、パンフレットを読んで、宮崎監督が「カプローニおじさんはメフィスト
テレスのような存在」と考えていることを知って、「えええっ!?」っと(笑)。

あのドイツ人のあやしいおじさんならともかく、なぜ夢に導くカプローニが
メフィストなの?メフィストって悪魔でしょ?!と。


「神曲」も「魔の山」も「ファウスト」も読まなきゃダメかしら?!と思うほど
はまりました(笑)。


で、ここから本題。

昨日、岡田斗司夫さんの「人でなしの恋を描いた『風立ちぬ』」
読みまして、非常にすっきりしたわけであります。

すべての自分の問いに答えが出たわけではありませんが、
とりあえず、シベリアケーキの謎は解けた!(笑)すっきり!(笑)

映画を楽しむために、他人の評を参考にする・・・というのは、本来の楽しみ方
ではないと思うので、えー、みなさんにおすすめするわけではないです。

ただ、どうしても自分の「知りたい!」が止まらなくって・・・(笑)。


その後、ぼんやり夜に考えていました。

わたしはあの物語の、どこに惹かれたのか。

ラブストーリー大好きで、ハッピーエンド大好きなわたしだったら、
菜穂子さんが主人公の元を去ったら、もっと主人公に取り乱してほしいし、
おっかけてほしい。
あんな寂しいところで、ひとり「療養」する・・・先が見えないのに・・・・。
そんなほっといちゃダメでしょう!!!って(笑)。

でも、全然そんなこと、思わなかったんですよ。
むしろ、菜穂子さんが喀血した時の取り乱し方の方が驚いたくらい(笑)。

つまり、わたしは完全に二郎さんのキャラクターに納得しちゃてたんだなって。
この人、基本的に自分勝手だもんって(笑)。
美しいものが大好きな二郎さん。その、ぶれなさがすごい。

そして菜穂子さんも。
すごく「恋する女性」で、すごく潔い生き方。

さっき「薄幸」に「」をつけたのは、本当に幸せが薄かったのかなって
思ったから。
もちろん、病気はつらい。二郎さんとだって、ずっといたいと思う。

だけど、菜穂子さんは、自分の思うまま、やり遂げたと思います。


この映画、出てくる人がみんな、ぶれてなくて、芯があって、
いやなところも素敵なところもあって、
人間臭いんだけど、完璧で(笑)、
とても圧倒されました。

ああ、ここまで書いてわかった。

「あこがれ」の涙だ。


自分の好きなものだけを見つめ、貫いたり、
自分の意見を持って行動したり、
危険だとわかっていても自分の良心のまま行動したり、
思いやったり、受け入れたり、時に盲目で気づけなかったり。
いや、考えようともしなかったり。

そんな、出てくる人たちのぶれない様が、
すごく美して、かっこよかった。

圧倒された。
それに尽きます。


メッセージ性のある映画ではないと思うんです。
ラストの菜穂子さんのセリフも、「生きることがすばらしい」という
ものではないと思うんです。

ただ自分は、「大事なのは命ではなくて、どう生きるかなのだ」と、
この映画に、がつんとやられたような気持ちになっています。


世の中、この映画に出てくるような人ばかりではない。
だけど、あの時代には、そういう人も少なからずいたのではないかしら。
日本を支える、芯を持った人たちが、いたのではないかしら。

そんなことを考えていたら、なんだか嬉しくなっちゃって(笑)。


本当に美しい映画でした。

DVD買ってもう一度見るんだ☆
その日がとても楽しみです。
by poo_easy3 | 2013-10-11 08:44